信頼が育つ 伝え方の習慣VOL2

なぜ「お願い」は伝わり、「指示」は止まるのか
― 脳が協力モードに入る言葉 ―
指示した瞬間、
なぜか空気が少し重くなる。
相手の返事はあるのに、動きが鈍くなる。
そんな場面に、心当たりはありませんか?
決して乱暴な言い方をしたわけではない。
丁寧に、常識的に伝えたつもり。
それでも起きてしまう、この“止まる感じ”。
実はこれ、言い方の問題ではなく、脳の反応なのです。
指示した瞬間に、空気が止まる理由
- 「〇〇してください」
- 「これ、やっておいてくださいね」
- 「次はこうしてください」
一見、とても丁寧な言葉です。
でも、相手の脳はこう受け取っていることがあります。
「決めるのはあなた」
「私は従う側」
この瞬間、脳は
「自分で考えなくていい状態」に切り替わります。
するとどうなるか。
- 主体性が下がる
- 思考が止まる
- 行動が“作業”になる
結果として、
返事はあっても、動きは鈍くなるのです。
丁寧でも「命令」に聞こえてしまう落とし穴
ここで大切なのは、
命令かどうかは「言葉」ではなく「受け取り方」で決まる
ということ。
たとえば、
「よろしければ、こちらにお掛けください」
これも丁寧な表現ですが、
選択肢がない場合、脳はこう感じます。
「断れない」
「選べない」
すると、
第1回でお伝えしたように、
脳はごく自然に防御モードに入ります。
丁寧=安心、とは限らない。
ここが、とても大切なポイントです。
脳が「協力モード」に入る条件とは?
脳が安心し、協力したくなる条件は、とてもシンプルです。
それは、
「自分で選んでいる感覚があること」
- 決定権が自分にある
- 尊重されている
- 信頼されている
この感覚があると、
脳は防御を解き、自然と協力モードに入ります。
だから、
「お願い」が伝わり、
「指示」が止まってしまうのです。
命令口調 → 依頼口調への言い換え例
ほんの少しの違いで、
脳の反応は大きく変わります。
❌「こちらにお掛けになってお待ちください」
↓
⭕「こちらにお掛けになってお待ちいただけますか
?」
↓
◎「こちらとこちらでしたら、どちらが楽そうですか?」
❌「次回はこの日でお願いします」
↓
⭕「次回はこの日でお願いできますか?」
↓
◎「この日とこの日でしたら、どちらがご都合よろしいですか?」
どれも、
決定を相手に戻しているだけ。
それだけで、
相手の表情や動きが変わることを、
多くの現場で見てきました。
「お願い」は弱さではなく、信頼
お願いをすることに、
どこか「下に出る感じ」や
「立場が弱くなる感覚」を持つ方もいらっしゃいます。
でも実は、逆です。
お願いができる人は、
相手の力を信じている人。
- 任せられる
- 委ねられる
- 尊重できる
だからこそ、
お願いという形を選べるのです。
まとめ
指示が悪いわけではありません。
ただ、使いどころを間違えると、
脳のスイッチを止めてしまうことがある。
お願いは、
相手を信じ、選択を渡す行為。
人は、
信頼されたときに、
いちばん力を発揮します。
私は、
接遇・話し方・コミュニケーションの研修や講座を通して、
この「脳に沿った伝え方」を、
現場で“すぐに使える形”でお伝えしています。
・部下やスタッフが自然に動く
・お客様との信頼関係が深まる
・押さずに、選ばれる
そんなコミュニケーションを身につけたい方は、
ぜひ研修や講座で、体感してみてください。
言葉が変わると、
関係性が変わり、
結果も、静かに変わり始めます。
